NHK人形劇 三国志 人形図鑑

人形たちに込められた思いやこだわり。さまざまな、そのひとつひとつをご紹介します。

第一回 蜀

劉備玄徳
劉備玄徳(りゅうびげんとく 161~223)

字は玄徳(げんとく)。漢王室の血を引く。
関羽、張飛と義兄弟になり、諸葛孔明の補佐を受けて長江上流域を支配、
蜀を建国、皇帝となる。
部下を惹きつける中国的な“徳”を持った人物。

【川本喜八郎のこだわり】

劉備は実際はかなりな年になって登場するのだが、
人形劇では、恋をする二枚目にして欲しいという要求が
NHK側からあり、青年となった。
さわやかさを表すために、衣裳の色の基本はブルーになった。
顔の色の白さは、中国では悪人を表すそうだが、日本の歌舞伎や
文楽の伝統では、白い顔は二枚目で、また、悪の白も使われるが、
勿論、玄徳、孔明の白は二枚目の白である。

関羽雲長
関羽雲長(かんううんちょう ?~219)

字は雲長(うんちょう)。劉備の義弟。
知勇兼備の武将。劉備の入蜀後は荊州の守備を委ねられたが、
孫権との戦いで戦死。義理固く情の熱い人物として、
後世、各地の“関帝廟”に神として祀られた。

【川本喜八郎のこだわり】

関羽の顔色は、燻べたナツメのような、と表現されているように、
京劇では赤である。人形劇の場合、京劇等と違い、かなりリアルな
作り方なので、他の人よりいくらか朱がかかっているくらいの
顔色に留めた。衣裳の色が、京劇などと同じ緑色なのは
全くの偶然だが、関羽は他の色を着せると全く似合わなかった。

張飛翼徳
張飛翼徳(ちょうひよくとく ?~221)

字は翼徳、または益徳。劉備の末弟。
“万人の敵”と称されるほどの猛将で、長板橋での勇猛ぶりは名高い。
三国志説話が広まった唐の時代には、トリックスターとして、
庶民の人気を一身に集めた。

【川本喜八郎のこだわり】

京劇では張飛は真っ黒な顔だが、関羽と同じ理由で、張飛の顔色も
他の人より少し黒い位に留めた。
滑稽な、また可愛いところもあるので、眉のカラクリは下がり眉にして、
失敗したときの表情が出せるように工夫をしてみたが、
もじゃもじゃのヒゲと共に、張飛の性格がうまく表現されたように思う。

諸葛亮孔明
諸葛亮孔明(しょかつりょうこうめい 181~234)

日本では字の孔明で知られる。荊州で晴耕雨読の生活をしていた
27歳の時に、劉備の“三顧の礼”に応えて出盧。
“天下三分の計”を実現し、劉備の死後も蜀のために一身を捧げた名宰相

【川本喜八郎のこだわり】

孔明は初め鶴のようなイメージで、
白の布地に黒の縁のあるような道服を着せたいと考えていたが、
立間先生に伺ったところ、白は中国では葬式の時に着るものなので
避けた方がいいのでは、とのご意見で着物は薄い水色にし、
羽織る道服は黒にした。
これは他の豪傑たちが華やかな色の戦袍を着ているので、白か黒が
一番目立つ色だからである。